フォントにふしぎ(前編)
先日、友人の誕生日プレゼントを買いに栄のジュンク堂へ行きました。ラッピングをしてもらっている最中、暇つぶしがてら話題本コーナーを眺めていたところ、こんな本を見つけたので購入。
- 作者: 小林章
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2011/01/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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フォントの世界では割と有名な人らしく、今までにも何冊かの本を出しているんですが、今回のはシロート向けに解かりやすく書いてくれています。「フォント」と一口にいってもそこには沢山の字体があって、確かにそれぞれから受ける印象は千差万別。いろんなブランドや店が、いろんな目的を持ってフォントを選んでいるんだなあと素直に感心します。
たとえばLOUIS VUITTONの章。ヴィトンのロゴからはブランドとしての王道感や信頼感が感じられるんだけど、それは何故なのかっていう話。
↓
http://www.louisvuitton.com/
ルイヴィトンのロゴに使われているフォントはfuturaっていうフォントです。このfuturaってフォントが実にカッコイイ。そしてとても洗練されています。カッコイイからドルガバやヒューレットパッカードも使っています。
でも、どうして、こんな単なる太線がこんなにカッコイイんでしょうか。
少し話が飛びます。
フォントといえば印刷技術が発達してから開発されたように思えますが、実は2000年前の古代ローマの時代には既にフォントの基礎が作られていて、凱旋門やら碑文なんかにはキチンとセリフ(欧文フォントの一画一画の端についている飾り)のついた文字がレリーフされています。しかも文字バランスまでキッチリと考えられています。例えば、「S」や「E」といった細長い文字はより細長く、「O」などの幅広の文字はより幅広くデザインすることで、均整の取れた美しいロゴが出来上がるわけです。
上の写真はウィキペディアから引っ張ってきたトラヤヌスの記念柱。古代ローマの五賢帝が一人、トラヤヌスがダキアを平定したことを記念して建てられたものです。この記念柱にレリーフされているフォントを現代に蘇らせたものがtrajanフォント(参考)。
んで、話を元に戻します。前述のfuturaもこのデザインに則り、幅広の文字は幅広く、細長いものは細長くなっているんです。だから、ヴィトンのロゴも、美しく、それでいて王道感のある印象があるんだそうです。それが何故、均整の取れたデザインになるか、という説明は結局無かったけれど。
しかも、このヴィトンのロゴ、futuraで通常通り入力するよりも文字間隔が広くなっているらしい。それがさらなるドッシリ感を与えているのだとか。すげー。
こんな感じで様々な企業ロゴが何故カッコよく見えるのかの解説や、街中で見つけたカッコイイフォントなんかを紹介したり、あまり知られていないフォントトリビアなんかも紹介しています。こういう本は好奇心がくすぐられるなあ。
後編へ続きます。