Rosier

仕事行きたくねぇ〜


土日で1冊だけ本を読みました。


皆月 (講談社文庫)

皆月 (講談社文庫)


花村萬月の作品はゲルマニウムの夜だけしか読んだことないんだけど、共通して、『童貞からの脱却』というテーマが有ります。違う。有ると思います。童貞といってもセックスしたという事実ではなくて、童貞という性質からの。四十過ぎのオッサンが妻に逃げられ、ヤクザものの義弟とソープ嬢に助けられ妻を追うという話なんだけれど、その過程でオッサンの性質がどんどんと変化していくのが面白いです。


あと他に面白いなあと思ったのが、ゲルマニウムの夜も今作も共通したテーマを持ちながら、一方(ゲル夜)は純文学の体裁を持っているのに、他方(皆月)は大衆文学としての体裁を持っていること。
テーマ性は似ているのに、何故そういう印象を持ったのかなあと考えたんだけれど、多分それは、今作では『精神の再生』というテーマを単なる事象として用いたに過ぎず(つまり物語上の味付け)、対してゲルマニウムの夜ではそれをメインディッシュに配して、分析したところにあると思います。
そうだとしたら、純文学と大衆文学をどこかで分けるならば、登場人物の精神にフォーカスを当てたものが純文で、物語の展開にフォーカスを当てたものが大衆になるんじゃなかろうかと思う。分ける必要があるのかは知りませんが。



増えました。