大人(ADULT)

歳を重ねるごとに知ることが増えていきます。


これは昔、確か中学生くらいのときに思ったことです。
そのとき僕はTVで『恋のから騒ぎ』を観ていて、番組内では、そのときの僕にとっての『大人』そのものである20代の女性が恋愛を語っていました。奥手だった自分にとって、20代の恋愛なんて、現実味を帯びていない、それこそ『TVの向こう側の出来事』でしかありませんでした。
でもそこそこ歳を重ねると、自分も、友人なんかも、TVの向こう側でしかなかった経験をし始めます。中学高校くらいなら、『誰それに彼女ができた!』程度の話なんだけど、それがいつしか『誰それが結婚する』とかいう話になる。足の速い男子がモテる世界から、オシャレでお喋りの上手な青年がモテる世界に移り変わり、最後は優しくて安定した収入を持った男性が幸せを掴みます。(そして僕は安定した収入と臆病な自尊心を片手に『俺だってモテたい!』と闇夜に咆哮します。)
もしかして、今では向こう側でしかない『誰それが不倫した』や、『離婚した』も、いつか現実味を帯びてやってくるんでしょうか。

恋愛に限った話ではなくて、例えば誰かが起業したり、誰かが捕まったり死んだり。ニワカに信じられなかった世界が現実味を帯びていきます。ホントくだらない話なんですけど、僕は風俗なんて絶対行きたくねえと思っていて、つい最近までソープに行く友人を小馬鹿にしていたんだけど、いざ社会に出てみると、存外、『風俗行くの当たり前。むしろ行かない奴なんなの?チンポの蛇口壊れてんじゃねえの?』くらいの風潮で、むしろ肩身の狭い思いをしています。そんな世界もあったんだな。当たり前じゃなかったことがどんどん当たり前になっていくや。


現実味を帯びた世界が広がっていって、それが自分にとって認識出来る世界であって、それが大人になるということなんでしょうか。ならば、過去に拘泥せず、現状を素早く認識し適応することこそが大人なのかもしれません。
25歳にしてはずいぶん幼稚なオトナ感だなあ。反省。